12月19日(木)19時〜、横川健康温泉センター2階にてきりしまSwitch横川未来研究室 中間報告会を開催しました。
当日は3名のゲストをお迎えし、頴娃町の空き家再生を通した地域活性化の取り組みや、昨年度開催した1期生の事例をご紹介いただきました。
また、12月から動き出した6つのチーム(詳しくはこちら)がそれぞれの企画の進捗報告を行いました。
当日の様子をご紹介します。
NPO法人頴娃おこそ会 加藤潤さんのお話
前回の第5講で具体的に企画が動き出した横川未来研究室。
6つのチームに別れているものの、どのチームにも共通して『空き家活用』『人の交流』といったテーマが関わっています。
そこで、今回の中間報告会では空き家再生を通して地域活性化に取り組まれている3名のゲストをお招きし、講座の前半に1時間ほどお話をいただきました。
トップバッターは南九州市頴娃町で活動されているNPO法人頴娃おこそ会の加藤潤さん。
もともと大手企業で木材の流通関連のお仕事をしながら趣味でDIYをされていた加藤さん。
関東から南九州市頴娃町へ移住し、頴娃おこそ会に関わりながら空き家再生を通してまちづくりを行なって来られた過程をお話いただきました。
「過疎はチャンスだと思っています」
と語る加藤さん。
人口の多いまちに比べて、過疎化が進むまちは日常の中で危機感を感じることも多く、一人一人がまちへの意識を持ちやすい環境。そして、一人が行動した時の変化も大きいですよね。
今や鹿児島県内でも有数のまちづくり先進地として注目を集める頴娃町ですが、立地や地理的条件などが横川町ととてもよく似ているまちです。
昔はとても栄えていた商店街。
JRの小さな駅があり、本数は少ないものの観光や地域住民の重要な交通手段になっている点。
人口減少が進み空き家が目立つようになってきたまち中。
そんなまちを活性化しようと、地元住民の方々が団体を作り、まちづくりに力を入れて活動されていること…
9年ほど前、弟さんが経営する観光養殖場タツノオトシゴハウスを手伝うために関東から移住してきた加藤さん。
タツノオトシゴハウスに観光客を呼び込む目的で頴娃のまちに関わり始めましたが、活動する中であることに気づいたそうです。
「タツノオトシゴハウスだけで観光PRするのではなく、頴娃のまち全体を観光地として育てていかなければ!」
それをきっかけに、頴娃町での観光まちづくりの動きが始まりました。
タツノオトシゴハウスの隣にある公園に観光の新しい目玉になるような鐘を立てたり、まちの中に点在する観光スポットを周遊できるようなマップを作ったり…
その時にできる小さなことから一歩ずつ初めて行くうちに、南さつま市の行政からも協力をもらえるようになり、公園や駐車場整備などのハード面のことは行政側が、企画などのソフト面は加藤さんも携わっているNPO法人頴娃おこそ会を中心に行う流れができていったそうです。
行政とNPO法人頴娃おこそ会との協働が起こる中で、徐々に「頴娃に移住したい」という若者が現れ始めました。
そこで、空き家になっていた古民家をNPO法人頴娃おこそ会が中心となって改修し、移住希望者に住居や事業所として提供。
そこを使って移住者が宿を運営し始めたり、シェアハウスやヨガスタジオを開業したりと、頴娃町に移住して古民家に住みながら開業する若者が増えていきました。
田舎に行けばいくほど、空き家はたくさんあるけれども荷物が置きっ放しになっていて借りられなかったり、古すぎてすぐには使えない状況があります。
そして、そういった空き家を取り扱う不動産業者もいませんよね。
そういった”空き家借りられない問題”に対し、NPO法人頴娃おこそ会では、大家さんと交渉し空き家を借りるところから改修、使う人に繋げるところまでを一貫して行うことで、地域の空き家を新しい移住者や事業の受け皿に変えています。
移住者の中には鉄道好きが講じて頴娃のまちに移住してきた方も!
現在は枕崎の鰹節加工会社に勤めながら、西頴娃駅の運営を行なっていたり、鉄道関連のイベントを開催していたりと、頴娃を拠点にまちの内外で活躍されています。
加藤さんのお話の中でも特にポイントだったことがこの4点。
- まずはやってみることが大事。小さなことから動いてみる。
- 想いを共有して一緒に動ける仲間を、まずは3人つくる。
- 「遊び心」が鍵。自分たちが楽しみながら活動する。
- WEBやSNSを活用した情報発信を重視する。
小さなことからでも動くことで、徐々にまちの雰囲気が変わってくる。
結果、まち全体でチャレンジを応援する空気感が生まれたことが、移住者を呼び込むことにもつながったというお話でした。
横川町との共通点も多い頴娃町のお話。横川の将来像を考える上でとても参考になるヒントをたくさんいただくことができました。
きりしまSwitch1期生 伊久良さん・湊さんのお話
加藤潤さんのお話に引き続き、昨年度霧島市の国分で開催した第1期「まちおもいweekend」の受講生 伊久良さん・湊さんのお二人にお話をいただきました。
昨年度、空き家再生をテーマに企画をたてて実行し、その小さな一歩が今のお仕事にも繋がっているというお二人。
空き家再生という大きなテーマの中で、具体的にどのような小さな一歩を踏み出したのか、詳しくご紹介いただきました。
普段は不動産関係のお仕事をされているお二人は、具体的な一歩目として、自身がお仕事で管理していた空き物件で壁紙張りや床貼りを体験するDIYワークショップを企画・実行したそうです。
ワークショップ当日はチームメンバーの家族や知人が参加。
参加費をいただく代わりにお土産になるようなパネル作成もワークショップのコンテンツに入れたりと、工夫をしながら開催しました。
現在は霧島市隼人町の小浜(おばま)という地域で加藤潤さんと一緒に古民家再生プロジェクトに関わっているお二人。
昨年度第1期で踏み出した小さな一歩が、それぞれの今に繋がっている様子がとても参考になるお話でした。
6つのチームの進捗報告会
中間報告会後半は、前回の第5講で結成した6つのチームから、それぞれの企画の進捗報告タイム。
それぞれのチームが、大きなテーマの中ではじめの一歩として何から始めるか話し合った結果を共有しました。
- 空き家活用チーム:初めての方でもできるDIYワークショップを開催予定。課題は開催場所や材料の確保。地域の方々と一緒にプロセスを楽しめる場にしたい。
- 世代を超えた支え合いの場づくりチーム:赤水地区に昨年閉館してしまった温泉施設を活用して地域の方々の交流の場を作りたい。自然の楽しさを体験できるようなワークショップなど。課題は物件確保や地域とどう連携するか。
- 駅前の酒蔵活用チーム:実際に酒蔵でお酒とおでんを囲みながら飲み会兼チームミーティングをやってみた。妄想が膨らんだので、今後はそれを一本化して最初の一歩に落とし込んでいく。課題は交通手段。飲んだ後にどう帰るか?
- 横川写真展チーム:過去〜現在の横川で撮られた家族写真を集め、地域の交流が生まれるような写真展を開催したい。まずは成人式の写真を集め、駅や温泉センターで展示をしたい。課題は展示場所の確保や写真集め。
- まちづくり学習会チーム:地元の人が主体的・継続的にまちづくりを学び、意見交換をするような場を作りたい。課題は、地元の人をどう巻き込むか。現状のチームには地元に住んでいる人がいない。
- 若い世代向け交流拠点チーム:遊び心を大切にした自然を楽しめるような企画を実施したい。若い世代を巻き込むグランピングを丸岡公園で開催するために、まずはキャンプ用品を借りながら開催できないか?課題は備品準備や企画の詳細を詰めること。
各チームの進捗報告の詳細は上記動画で撮影しています。
ぜひご覧ください。
次回以降のご案内
次回は1月23日(木)、横川健康温泉センター2階にて第6講〜伝え方を学ぶ〜を開催します。
本件に関するお問い合わせ先
主催:霧島市役所 企画政策課
〒899-4394 鹿児島県霧島市国分中央3丁目45-1
TEL 0995-64-0914
運営:一般社団法人鹿児島天文館総合研究所 Ten-Lab
〒892-0831 鹿児島市船津町 1-11
TEL 080-2785-4563
Mail info@ten-lab.org