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きりしまSwitch「横川未来研究室」第2講〜考え方を学ぶ〜 講座内容レポート


8月29日(木)19時〜横川公民館にて、きりしまSwitch「横川未来研究室」第2講〜考え方を学ぶ〜を開催しました。

 

今回は、講座テーマのとおり、まちで活動を行う上でとても大切な考え方であるNVC(エヌブイシー)』について学び、グループで実践しながら学びを深めるという2時間を過ごしました。

 

このレポートでは講座内容の『NVC』について詳しくご紹介します!

 


NVCとは“共感を軸にしたコミュニケーション”〜言動の裏にある感情と想いがカギ〜

NVC(エヌブイシー)とは、Non-violent Communication(ノンバイオレント コミュニケーション)の略で、日本語では『非暴力コミュニケーション』と呼ばれます。

 

暴力と聞くと身体的な暴力が浮かんでくるかと思いますが、そうではありません。

話し合いなどの言葉のコミュニケーションの場において、相手や自分の真の想い(ニーズ)を深め、汲み取った上でその場に臨むコミュニケーション手法のことを言います。

 

もう少しわかりやすい言葉でいうと、NVC=共感を軸にしたコミュニケーション』です。

 

具体的に、子育てで良くあるケースを例にしてみましょう。

 

小さな子どもが流れの急な川のすぐ横で遊んでいます。

そこは何度も子どもが溺れる事故が起きている、とても危険な場所です。

あなたはこれまでに何度も注意しているのですが、子どもは何度言ってもそこで遊ぼうとします。

 

あなた「そこに近づくなと言っただろう!バカモノ!」

 

何度も危ないと注意しているのに聞いてくれない…ついつい怒鳴ってしまいますよね。

どうすれば相手(子ども)はあなたの言うことを理解してくれるのでしょうか?

 

そこで、NVCの考え方で解決策を考えてみましょう。

発言・行動といった表に出てくる言動の奥には、感情が隠れています。

「そこに近づくなと言っただろう!バカモノ!」という発言の奥にある感情は何でしょうか?

●何度注意をしても聞いてもらえない“もどかしさ”

●子どもが事故にあってしまった時を想像した“悲しさ”

このような感情があるからこそ出た発言だと思います。

 

では、“もどかしさ”“悲しさ”という感情を持った理由は何でしょうか?

感情の奥には“想い(=ニーズ・願い)”が隠されているのです。

 

●子どもを大切に育てたい

●健やかであってほしい

親や近い間柄なら誰でも、子どもには安全な環境で元気に育ってほしい、無事でいてほしいという想いがありますよね。

 

このように、「そこに近づくなと言っただろう!バカモノ!」をいう発言で達成したいことは“子どもが安全な環境で健やかに育つこと”だったりするのです。

同じように、危ない川の近くで遊んでしまう子どもにも、その行動の裏に感情とニーズが隠されています。

水遊びがしたくて、できる場所といえばそこしか知らないのかもしれません。

他の場所は暑くて遊べず、川の近くなら涼しいからそこで遊んでいるのかも…

 

自分と相手のニーズが理解できていれば、声かけの仕方は変わりますよね?

 

「そこに近づくなと言っただろう!バカモノ!」

   ニーズを意識して言い換えてみると…

              ↓

「川に落ちそうで危ないから、そこでは遊んで欲しくないな。他に水遊びできる場所を探そうか?」

「川に落ちたら皆が心配するよ。あっちなら涼しいし安全だから、あっちで遊ぼう。」

 

川の近くで遊ぶ子どもを注意するという行動は同じでも、ニーズを意識した声かけかどうかで相手への伝わり方も変わります。

前者のように強い言葉で怒鳴られただけでは、子どもは嫌な気持ちになるだけで真意が伝わりませんが、後者では注意された意味がよくわかりますよね。


実践してみよう!話し合いの場でのNVC活用

実はこのNVCは、職場や自治会・PTAなど話し合いの場で、大きな効力を発揮します。

会議などの話し合いを設けるとき、こんな悩み事はありませんか??

 

●会議を開いても人が集まらない

●結論ありきの場になってしまって十分な議論が起こらない

●みんな他人事で発言が少ない

 

NVCがきちんと意識された場では、出席者全員が共感をもち、当事者である自覚を持って参加することができるため、話し合いが具体的な成果に繋がりやすくなります。

今回の講座の中ではNVCの実践編として、三人グループを作って写真のテーマについて実際に考えてみる時間を設けました。

 

「●●小学校の生徒数減少による休校対応の推進会議」

この会議を設定した人は小学校の休校について皆で意見を出し、円滑に休校対応を進めていきたいのでしょうが、このテーマ設定でその目的は果たせるでしょうか?

テーマから話し合いたいことが伝わらず、人が集まらないかもしれません。

もしかしたら休校に反対する人が押しかけて反対運動の場になってしまうかも…

 

このテーマを、休校賛成派も反対派も問わず集まり有意義な議論がなされるような、地域の様々な人が共感し自分事として参加してもらえるテーマに変えてみようというお題です。

 

実際に考えてみると難しさを実感しますが、まずは感情、そしてニーズという順番で取り組んでみると少しずつイメージが膨らんできます。

 

正解があるものではないので、例としてとあるチームで話されていた内容をご紹介します。

 

<①休校を推進したいと言っている人の感情は?>

・この人が保護者の立場の場合:

   生徒数が少なくなった事で子どもが育つ環境として十分ではないと心配している

・この人が行政の立場の場合:

   少子高齢化の中で今後も小学校の維持費を捻出することに不安を感じている

 

<②休校を推進したいと言っている人のニーズは?>

・この人が保護者の立場の場合:

   たくさんの友達や刺激に囲まれて育ってほしい

   より安全で整った環境の中で勉強に励んでほしい

・この人が行政の立場の場合:

   小学校の維持にかかる負担を軽減し、地域財政を安定させたい

      小学校の維持にかかっていた経費を福祉など他の分野の拡充に繋げたい

 

<③再設定するテーマは?>

   「子ども達のより良い教育環境を実現するための話し合い」

   「これからの地域財政と教育について考える会」

 

他のチームも三人で話しながら感情とニーズを深掘りし、テーマの再設定まで考えることができました。

 

NVC(=相手のニーズを踏まえ共感を軸にしたコミュニケーション)は地域づくりの活動に限らず、日常の生活や仕事の現場でもすぐに活用でき、効果も実感しやすいものです。

 

参加者の方からも、実際に身の回りで起こった似たような事例が話にあがったり、PTAの会議で応用する為の具体的な質問が出たりと、実生活と紐づけて考えることでよりNVCの理解を深められた様子がありました。

 

NVCについては今後の講座でも頻繁に触れていきます。

実生活に紐づけながら繰り返し実践していくことで、少しずつNVCを身につけていきましょう!

 


横川のまちでNVCをどう活かす?

講座の最後は、「私がいま、横川で気になっていること」についてチーム内でシェアをしました。

横川に長年住んでいる方、仕事で横川に通っている方、この講座で初めて横川を訪れた方など、それぞれの視点で横川への想いを共有できた、とても有意義な時間になりました。

 

次回は第3講「まちを見つめる」を9月26日()に開催予定です。

いよいよ横川について考えを深めていく内容に入ります。

今回学んだNVCをどのように横川のまちに活かしていくか?活用の場はたくさん広がっています。

 

皆さんの想いを横川のより良い未来をつくる一歩にするために、日常生活でも積極的にNVCを実践していきたいですね。


次回以降のご案内

次回は第3講「まちを見つめる」を9月26日()19時より、横川公民館にて開催します。


本件に関するお問合せ先

主催:霧島市役所 企画政策課


   〒899-4394 鹿児島県霧島市国分中央3丁目45-1

   TEL 0995-64-0914

 

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